【交通事故Column 42】
弁護士の山﨑です。久しぶりに交通事故コラムを更新します。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、今ますます需要が高まっている自転車。
ウーバーイーツ等のデリバリーサービスの配達手段とする他、「密」を避けるため公共交通機関に代わる通勤手段としても需要が高まっているようです。
自転車の利用者が増えると懸念されるのは、交通事故です。
自転車と自動車の交通事故、自転車同士の交通事故、自転車と歩行者の交通事故。当弁護士が今までご依頼を受けた自転車事故の事案にもさまざまなケースがあります。
危険な運転をしているにもかかわらず、その自覚が足りない自転車利用者も多く見受けられます。
今回は、自転車の場合にも交通事故に備えた保険の加入義務等についてご紹介します。
■ 自転車損害賠償保険等の加入義務化
自転車に乗り始める前に、まず確認していただきたいのは保険のことです。
「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が改正され、2020年4月1日から、東京都内で自転車を利用する場合には、対人賠償事故に備える保険等に加入している必要があることをご存知でしょうか?
対人賠償事故に備える保険等とは、「自転車の利用によって生じた他人の生命または身体の損害を賠償するための保険・共済」のことを指します。
東京都の公式情報によれば、年齢を問わず自転車を利用する際には保険に加入する必要があり、業務で自転車を利用する際には事業用の賠償責任保険に加入する必要があるとのことです。
(出典)東京都都民安全推進本部 "令和2年4月1日から都内で自転車を利用する場合には、対人賠償事故に備える保険等に加入している必要があります!"
●自転車利用者:自転車の利用によって生じた他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等に加入しなければなりません。
●保護者:未成年のお子さんが自転車を利用するときは、自転車の利用によって生じた他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等に加入しなければなりません。
●自転車を業務で使用する事業者:業務中の自転車利用によって生じた他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等に加入しなければなりません。
※業務で自転車を利用中に起こした事故は、個人賠償責任保険等では補償されません。事業者が事業用の賠償責任保険に加入する必要があります。
●自転車貸付事業者:借受人の自転車の利用によって生じた他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等に加入しなければなりません。自転車貸出時などに、借受人に対して、貸付自転車が加入している保険等の内容に関して情報提供しましょう。
■ 保険の加入状況を確認しましょう
火災保険や自動車保険の特約、クレジットカードの付帯保険で加入済みの可能性もありますので、自転車利用者向けの保険に申し込まれる前に、加入状況をご確認ください。
新たに加入する必要がある場合の費用相場として、例えば、東京海上日動のeサイクル保険は、月々340円で最大1億円の補償(被保険者本人の自転車事故等によるケガや被害者への賠償に対する補償)を受けられるようです。
東京都の公式動画(YouTube)もありますのでご参考になさってください。
■ 自転車の交通事故を防ぐためには
保険は万が一の備えとして必要なものですが、一人ひとりが交通事故を起こさないよう常に意識することが最も大切です。
自転車利用時は、むやみに速度を出さずに、前方だけでなく後方にも目を配りながら、周りの交通状況や標識をしっかりと確認しましょう。
歩道での危険な運転もよく見受けられます。小さなお子さんが目の前に飛び出してくるような事態にも衝突事故を回避できるよう、歩道では常に歩行者優先であるということを忘れてはいけません。
自転車利用者の危険な運転の中でも特に恐ろしいのが、イヤホンを装着しながらの運転です。
イヤホンを装着しながら走行していると周りの音が聞こえにくく、後方から近付いている自動車の存在に気付くのが遅れることもあり非常に危険です。交通事故を引き起こす危険な行動であるという自覚を持つべきでしょう。
言うまでもなく、スマホを操作しながらの走行も交通事故を引き起こす要因となります。なお、スマホを操作しながらの自転車運転は道路交通法で禁止されています。
自転車の定期的な点検も交通事故の予防に役立ちます。
ブレーキ、ライト、タイヤは日常的にセルフチェックし、自転車ショップでも定期的に点検を受けるよう心がけましょう。
【関連記事もあわせてご覧ください】
豆知識コラム『交通事故を回避する自転車の安全な乗り方は?』
0コメント