交通事故の後遺障害認定を受けるには~鎖骨骨折の場合~

【交通事故Column 41】 


自転車やバイクで走行中に交通事故に遭った場合に多く見られる、鎖骨の骨折。

今回は、交通事故で鎖骨を骨折した場合に後遺障害の認定を受けるための豆知識をご紹介します。


■ 鎖骨骨折の種類

  • 鎖骨遠位端骨折(鎖骨の肩寄り部分の骨折) 
  • 鎖骨骨幹部骨折(鎖骨の中央部分の骨折) 
  • 鎖骨近位端骨折(鎖骨の首寄り部分骨折) 


■ 後遺障害認定されるケース

  • 機能障害による後遺障害認定 ⇒ ①
  • 神経症状による後遺障害認定 ⇒ ②
  • 変形障害による後遺障害認定 ⇒ ③


① 可動域制限の残存の程度により後遺障害認定される可能性があります。

  1. 肩関節が全く可動しない … 肩関節の用を廃したもの ⇒ 後遺障害第8級6号
  2. 骨折側の肩の可動域が反対側の可動域と比べて1/2以下 … 著しい機能障害 ⇒ 後遺障害第10級10号
  3. 骨折側の肩の可動域が反対側の可動域と比べて3/4以下 … 機能障害 ⇒ 後遺障害第12級6号


② 神経症状(痛み・痺れなど)が残った場合にも後遺障害認定される可能性があります。

  1. レントゲンやMRI画像により痛みの原因となる異常所見が確認できる(他覚的所見) ⇒ 後遺障害12級13号 
  2. 他覚的所見は無いが、神経症状が医学的に説明できる ⇒ 後遺障害14級9号 

「神経症状が医学的に説明できる」というのは、具体的には、受傷当時から症状固定に至るまで患部の痛み・痺れが継続していることが治療経過等から医学的に推測されることです。

つまり、後遺障害が認定されるには、最低限、交通事故当時から症状固定を迎えるまで、継続的に週2~3回の通院治療を受けていて、かつ期間的にも6ヶ月以上の治療が必要だと言われています。  


鎖骨に著しい変形が残った場合にも後遺障害認定される可能性があります。

裸になったときに鎖骨の変形が明らかに分かる ⇒ 後遺障害12級5号

但し、「著しい変形」なので、レントゲンを撮って初めて認識できるような軽度の変形は該当しません。


■ 後遺障害認定された場合に請求できる損害

  • 後遺障害慰謝料 ⇒ 認定された後遺障害の等級によって金額が決まります。
  • 後遺障害による逸失利益 ⇒ 次の計算式により金額が決まります。

計算式:〈基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間〉

詳しくは「逸失利益の算定方法」のページをご覧ください。